Hevighmental Myth

ヘイメン神話の発端

死の先にあるものは何か、そもそも生と死とは何なのかといったことを延々と考えては形にする死生観の自己開発。生への執着と死への願望の融合体。
ヘイメン神話は「死後の世界をテーマにした創作物」であり、実際にそれを信ずる「宗教」です。

生と死のサイクル、光と影、大気と大地すら存在しないかもしれない真なる空白に作るのは、現世のクローンか、はたまた混紡の魔界か。
実態としては ”設定集+α” といった具合の創作物なので、ほどほどに読んでやってください。

世界観

外側から内側へ、潜在し続ける世界

人を始めとした生き物の中には小さな空間がある。しばしば小宇宙と呼ばれるそこは空白で、何が有って何が無いのかも未定義の空間だった。
そこにひたすら意識を向けること、その中に何があるのかを定義することで世界は作られ、ある時をもってその世界は回り始める。
”ある時”とは、世界を作っていた意識の永久喪失、すなわち「死」である。

世界の中に落とされた物ものは死を境に、神とも称される外側からの定義を受け付けなくなり、今まで受けていた定義をもとに動き出す。
自分が今ここで物を見て考えて生きることさえも、誰かの死によって動き出した世界の中のひとつにすぎない。 自分は誰か一人の思考の中の世界に生まれ、その中で自分もまた思考によって世界を作るーーそんな「内側」を永久に作っては入っていくサイクルを永久に続けている。

魂、輪廻転生、天国と地獄など、1つの存在が水や血のように世界を行き来して循環する本来の構造とは異なり、死後世界ヘイメンの基幹は外側から内側への永久・不可逆的な進行である。
そのためヘイメンの信仰は「死」について延々と考えることであり、「生」にまつわる事はあまり考察されない。

死者は霊体や精神体などいかなる形であっても生前の世界に戻ることはない。
死んでもなお通じ合えるようなことがあっては、それは死ではなく単なる変身にすぎないからだ。

ヘイメン外郭

ヘイメンの世界を作るための空間。ヘイメンが地球だとすると、外郭は宇宙に相当する。
有り体に言えば「心の空間」で、生きている創造者が過ごす時間をそのまま反映する。そのため信仰している間は既にヘイメン外郭にいると言っても過言ではない。

その中で飛べると思っていれば浮力がつき、飛べないと思っていれば重力がつく。ここで言う「飛ぶ」とは空間内で正に飛翔することを指すが、心の空間で飛翔を試みることは「挑戦」「自由に振る舞う」「解放を望む」などの精神的な変化を表す。
創造者の死と同時に外郭部は消滅する。

ヘイメンの中核

死後世界の本体。球体だが、殻のように1枚岩が球状に揃っており、死者はこの内側に立つ。
放圧光球と呼ばれる光の玉が球体の中央にあり、さながら太陽のように世界を照らすが、同時に圧力を放つことで重力を模した現象を与える。
放圧光球はヘイメンに出入りする扉でもあり、圧力に耐え抜いてそれに触れた者はこの世界から去ることができるとされる。

命霊(みょうれい)

命霊とは、空間創世後のヘイメンを形作る、神に似た存在を表す。ほとんどのものはプレドアに存在した物事を引き継ぐために生まれ、その後も維持するために管理者のようになるものもあれば継承の証として存在するだけの像となるものもある。
Kから始まる名前のものはKの命霊と呼ばれ、意図的に変えることが難しい物事に名が与えられる。

Keloid / ケロイド

Kの命霊のうち、ヘイメン創世の動力源となった存在。情動の象徴。
人の姿をとっているが、頭部から背にかけて情動を表す物質が割って溢れ足は変形している。側で燃える火はパイロであるとされる。

創造者が未だ未開拓であった信仰の領域の壁を打ち壊し、ヘイメンが存在するための間を空けた。
カイマが現れた後は頭部から溢れる物質はヘイメンを形作る殻や大地となった。

ケロイドが活性化する時は人は意欲に満ちたりヒステリーを起こしたりといった前進状態になるが、それは創造も破壊も行いうる「情動」という原初の感情によるものとされた。

Kaima / カイマ

Kの命霊のひとつで、叡智と知識欲、死後も唯一残る記憶域、海馬の象徴。
髪の毛のようなものは全て知識であり、自身の周りにある岩も知識の塊であるとされる。
目に相当するものが観測されないが、指先から燻ぶらせる煙で全てを感知している。達観したような佇まいと言動で、Kの命霊の中で唯一喋ることができる。
カイマが誕生したことでヘイメン創世直後に破壊を行っていたケロイドは沈静化し、今のヘイメンの大地を作るようになった。
カイマ曰く、岩となった知識のほとんどは衣食住や科学などプレドアに存在した機構に基づいたものであり、ポストアに流れてから通用しなくなった知識は瓦礫のようになってしまうという。

Kaleido / カレイド

Kの命霊で、眠りの時に見る夢の象徴。
やや女性寄りの顔に構造体で出来た長い身体と何対も生えた翼のようなものを持ち、さながら竜のように身体をくねらせてヘイメンの空を泳いでいる。
翼の裏には幻想的な空間が垣間見え、これをひと目でも見てしまうと意識をその空間に吸い込まれ、夢を見る状態で眠り込んでしまう。
身体を構成するのはフルームの群れであり、均等に散らばるフルームがこのようにまとまることは異常現象であり、人が良くも悪くも精神不安定になった時に夢を見やすいことと同義である。

Khain / ハイン(≒カイン)

Kの命霊。何かがあり、そこから派生するという「因果」と呼ばれる一連の流れそのものを引き継いだ。これにより擬似的に「時間」もヘイメンにもたらすこととなった。
物事の流れを表すハインは全ての物事の全ての行き先を知っているとされるが、それを変更し運命を操るような神的な力があるわけではない。また、喋らないため未来を教わることもできない。
1つの理由によって生まれたアイデア(果)が偶然にも2つ目以上の都合のよい理由(因)を引き寄せた時のことをハイン現象と呼ぶ。

Flewmcage / フルームケージュ

人の感情を示すフルームのなかで、負の感情を得て飛べなくなったものを拾っては身体についた籠の中で休ませ、再び上空に戻してまわっている存在。人の精神の自己再生を表す。
身体の内側はフルームを休息に導くための景色と空間が広がっているというが、カレイドの持つ空間とは異なり眠るのはフルームだけである。

その他の存在

Flewm / フルーム

人の精神状態そのものを表す最小単位。創造者の感情によって色が赤や青に変わり、群れとなって上空を飛ぶことでヘイメン全体の空間が色づく。気象や季節に似たものを作る。
またヘイメン中核では放圧光球の光を遮ることで昼夜を模すことができるが、動きが不規則なためプレドアのような周期的な夜がフルームによって作られることはほぼない。
ヘイメン外郭では、精神状態に異変があり活力を失うとフルームは灰色になって地面に落ちていく。

Timphoenum / ティフォーナム

音による苦痛から逃れるための防衛反応そのもので、いわゆる身代わり人形。役目を終えた今は「音」をヘイメンに引き継いだ証拠として存在する。
身代わりになったことで胴体と脚と聴覚器官を失い、黒い補完物質で修復している。耳にあたる部分はケーブル状の補完物質で出来たもの。固有色である銀色の羽織物は、跳ね返る音を光になぞらえたもの。
音の概念を引き継いだ後はこれといって役目を持たないため、命霊ではないが単なる存在とも言い切れない曖昧な立場にある。
身代わりの対象と最も近いラックに姿が似ており、ラックが生まれる前から存在したためか、ラックのことを弟(妹)のように見ている。
名前の由来は鼓膜(Timpanum)と音(Phone)。

Pyro / パイロ

絶え間なく流れる「時間」を取り込み「静」を「動」に変える魂の炎。これがないものは物体、これを持つものは生命である。
ガラスのような半透明で黒い身体の中には炎が流れ、燃える髪、赤く光る手足、炎でできた小さな翼を持つ。
死後に死者の魂の殻を抜け出し、動けなくなった静の状態の魂の手を引き死後の世界へと導き、消滅するという。

Sustainer / サステナ

かつて別の世界で独自のヘイメンを作り信仰してきた信者と、それを食い殺して狩人に撃たれた巨鳥の成れの果て。
猛禽(Raptor)と人(Human)の造語でラプトゥーマ(Raptuma)と呼ばれる半人半鳥の青年。光の放圧に耐え抜いた飛翔の継続者。

自分の作っていた死後世界に物足りなさを感じ、扉たる放圧光球に触れて他者の外郭に飛び出した。
天国や地獄の亜種としてヘイメンを作っていたらしく、魂は世界を行き来できるという思想により他者の世界に入り込むことができる特質を持つ。

Naeirterm / ネアトラム

終末に近づく者(Near-term)。死者の魂を取り込んでヘイメン中核に連れて行く、いわゆる天使。
レリックとレガシーの融合体であり、完全な「過去」の集合体。

ヘイメン外郭が消滅しても消滅することのない特性があり、死者は取り込まれている間はその「過去」に基づいた景色の中で生活する幻覚を見る。
ヘイメン中核に死者の魂を落とすと、記憶の集合体であるネアトラムはカイマの使われない知識の岩と同じような物質に変質して動かなくなってしまう。

The Immortal Mate's Echo

それは朽ちることのない盟友の声。

死とは現在が消滅し、過去のみになることである。The Immortal Mate's Echo(T.i.m.e.)は、自分が時間の中を生きていくうちに忘れてしまうもの、意識の中から消えてしまうものを留めておくための、精神分析・芸術療法を目的としたヘイメン神話のこぼれ話。
ヘイメン外郭を歩く「自身」そのものを表す。

Lack / ラック (観測名)

創造者の魂そのもので、「現在」の象徴。時間を取得し進むことができる。
身体のあちこちに欠陥と呼ばれる穴があり、身体の中は暗い無限空間になっている。強い衝撃などで身体が包帯のような布状になってほどけることがある。
原理的にはラックの中にパイロが住んでいることになるが、ラックは生の象徴でもあるため死後に出てくるパイロとは面識も認識もない。
パイロの存在はあるものの実状は人間の核であるため、見た目は人だが臓器などの内部構造はほぼない。

Relic / レリック (観測名)

ラックについていく動物のようなもの。
「過去」の中で過去に抱いた夢、野心や好奇心など時間と共に失われるものの集合。
よく喋る割に口はなく、活発に動き回る割には後ろ足がなく、自我が強いくせに身体は雲のように掴めず、物事を深く考えない割には尾羽の構造が永久に深まるフラクタルである。瞳にはオレンジとエメラルドの色が宿る。

中身に同じく性格はヤンチャで、何とも表しがたい見た目は何者とも定まらない、そういった好奇心や想像力の現れ。
体の中に何でもしまうことができ、触れる人によって身体を掴めたり掴めなかったりする。頭や尻尾、羽などは固体のままである。

Legathy / レガシー (観測名)

「過去」の全体像。レリックと異なって忘れられた物事や抑圧された感情など「現在でないもの」の全てを包括する。
そのため現在を後押しする姿にもなれば、未来を奪いうる存在にもなる。
全身を覆う布は記憶の塊が変化したものであり、時間を追うごとに量が増えるとされる。また、脚が観測されない。
ヘイメン外郭が無くなる時、レリックと融合してネアトラムになり、死者の魂を取り込んでヘイメン中核に連れていくという。

観測名

観測名とは実際に名前として個々が持っているものではなく、名前はないが分類のためにつけている仮の呼び名のことを指す。
そのため、ラックやレリックなどは互いに名を呼び合うことはなく、いつも「きみ」「ぼく」などと言う。

欠損・観測について

プレドアにおける人間の姿をとったものにおいて、本来あるはずの部位が存在しない、あるいは一度失われて補完された時、それが存在をどのようなものか表す鍵となる。

時間を取得し「現在」になれるかどうかを示す。
ない場合、時間を辿らない、「現在」ではない、あるいは時間の進み方とは関係がない存在である。

現在に関与し変化を与えられるかどうかを示す。

周囲の存在によって形質が変わるかどうかを示す。

頭・身体

人間性、人であることの自覚よって存在するかどうかを示す。

物体・オブジェクト

Visionization Babel / 幻視の塔

ヘイメンの中心へと移るために登る灯台のような塔。かつて思い浮かべていた幻(生前の創作物)を実際に視る(実在させる)塔。
上階に窓とベッドしかない古びた部屋があり、顔も分からない1つの遺骨がある。
ヘイメン中心を照らし続ける光の筋を歩くことができる。

本当はかつて苦し紛れに作って逃げ込んだ心の部屋。窓から外を俯瞰する人と話をしたはずなのに、その顔を思い出せないでいる。だからそれは遺骨となった。

用語

プレドア(Predoor):
死後世界から見て、ひとつ前の世界のこと。生前。
ポストア(Postoor):
今生きている世界から見て、次の世界のこと。死後。

補完物質:
失われた機能や見た目を再び有効にする物質。粘土質だと言われているが、その質感は持ち主次第。「一度失われたことがある」と証明する物質でもある。